思うこと

忘れないうちに地震がおきた日のことを書いておこう。自分のために、自分が書きたいから。

当日、店で働いていた。のんきな雰囲気の日で、一緒に働いていた女の子がスーパージュニアに少しはまりかけていたから、彼女から仕入れた知識を伝えたりしていた。

揺れが始まって暫くはレジのところにいた。揺れは徐々に激しくなっていく。酒のビンがガチャガチャいって棚から落ちそうだったので、二人で押えに行った。でもどんどん激しくなる。外に出ろ!と叫んで二人外に出た。

近所の人も出てきて、すごい揺れだったね等と会話を少しして店に入るとビンが十本くらい割れていた。店内が酒の匂いで充満して「酔っ払いそうだ」と軽口をたたきながら始末していた。そのとき指先をガラスで切った。

夕方から彼女と会う約束をしていた。5時半に会う約束をしていたからきっと彼女はこっちに向かっていたはず。急に心配になり、電話をした。繋がらない。迎えに行こうと家に車を取りに戻った。

家に帰ると彼女と奇跡的に電話が繋がって「今ランドマークにいること、偶然彼女の親友と会えて二人でいること、電車は全く動いていないこと」を知る。そのあとテレビを見た。その地震の規模に立ちすくんだ。電話では迎えに行くと伝えたけれどいつ横浜にたどり着けるか判らない。彼女の実家から迎えに来てもらった方が安全だ。彼女の実家に電話してわけを話す。心配になって店に戻る。

店はいつもとは様子が違う。普段では考えられないような客数が店内にいた。近くの井の頭通りはやけに歩いている人が多い。歩いて帰宅している人だった。

店のレジは稼動しっぱなし手伝えることはない。とっさに地図を大量にコピーして井の頭通りに立った。「道を御案内します!」

吉祥寺、高井戸、荻窪、田無、町田、相模大野、新宿、下北沢、渋谷、中野…大勢の人がそれぞれの目的地に歩いていた。出来るだけ簡単な迷いにくい道を案内したけれど迷わなかっただろうか…いまでも凄く気になる。

0時あたりに彼女と連絡がついた。ご両親と合流でき、家に着くことが出来たと聞き安心する。通りに立つことは止めて店の入り口に貼った拡大コピーした地図の前で道案内を続けた。

電車が動き始めて歩く人もいなくなり、事務所で椅子に座ったら暫く立てなかった。